長期入院の重度認知症患者の死亡3ヵ月前からの臨床経過
第28回日本緩和医療学会学術大会
要旨
【目的】
重度の認知症の死亡3ヵ月前からの終末期には様々な苦痛症状が生じる。実際にどのような症状が生じ、どのように対処し、また死因によってどのような症状が生じているか考察する。
【方法】
2020 年 8 月に当院に入院し、2022 年 10 月までに当院で死亡した症例で入院期間が3ヵ月間以上の症例で死亡3ヵ月前からの症状経過などを解析した。その症例の中で重度の認知症を合併した症例を対象とした。認知症の定義は DSM-5 の major neurocognitive disorder の診断基準に従った。重度の認知症は Cognitive Performance Scale(CPS)で 5 点以上の症例とした。
【結果】
対象症例は 21 名で死亡時の女性の平均年齢は 90.9±1.9 歳で死亡時の男性の平均年齢は 77.3±5.0 歳で女性が 17 名(81%)であった。平均在院日数は 208±25 日であった。運動障害(100%)、アパシー(100%)、呼吸困難(100%)が最もよく認めた症状で会った。運動障害、アパシーは全症例で死亡3ヵ月前から死亡するまで認めていた。死亡3ヵ月前に不穏は 33%、嚥下障害は 90%、呼吸困難は 33%であったが死亡 1 週間前になると不穏は38%、嚥下障害は 96%、呼吸困難は 100%と増加していった。そのためか死亡3ヵ月前に少しでも経口が可能だったのは20%であり、高カロリー輸液管理が 71%であった。ただ呼吸困難は 33%に認めていたが、死亡一週間前には全例に認め、死亡一週間前に点滴が維持輸液で 500ml の症例を 29%に認めた。死亡3ヵ月前はまた発熱が入院時(23.8%)から死亡 1 週間前(76.2%)で増加し、抗生剤の使用も入院時(38.1%)より死亡 1 週間前(66.7%)に多くなっている。
【考察】
呼吸困難は死亡時期に近づくと多くなり死亡 1 週間前になると急激に増えるため、重度の認知症の終末期の症状緩和としては特に呼吸困難症状のコントロールが重要と思われた。
