医療法人社団岡田会

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Yamanobe Hospital
2026.07

慢性期高齢めまい症例に対する前庭リハビリテーションの介入効果の検証

第35回 奈良県理学療法士学会

岡田 航

【目的】過疎地域での高齢者ではめまい症状がADLやIADLの重大な阻害因子となる。めまいのある高齢者はない高齢者と比較して転倒発生のリスクが2倍となることが報告されている(Deandrea S,2010)。転倒、めまいへの恐怖心の増悪、活動範囲の狭小化、症状の悪化という悪循環は当院のような過疎で高齢化率の高い地域では喫緊の課題である。本研究の目的は慢性期めまい症例に対する前庭リハビリテーション(以下、前庭リハ)は有効かを検討することである。そこで、3ヵ月間の前庭リハ前後の主観的めまい感、平衡機能、歩行能力を比較・検証した。

 

【方法】対象は当院で前庭リハを実施した65歳以上の慢性期めまい症例8例(平均年齢:75.6±8.0歳)とした。対象者の病悩期間は、平均51ヵ月±75ヵ月であった。前庭リハは週1回個別介入を実施し、併せて自宅での自主訓練指導を行った。自主練習の内容は、視線安定化運動、眼球運動、バランス練習、歩行訓練とした。介入前と3ヵ月後に、主観的めまい感としてDizziness Handicap Inventory(DHI)、平衡機能として閉脚立位の開眼時と閉眼時の足圧中心軌跡長、歩行能力としてFunctional Gait Assessment(FGA)を評価した。また症例ごとに参加・活動に関連する目標を設定し、終了時の達成割合を算出した。統計解析は、介入前と3ヵ月後の各指標の差を順序尺度はウィルコクソンの符号順位検定、比例尺度は対応のあるt検定を用いて検討した。有意水準は全て5%とした。

 

【結果】介入前後の比較では、DHI、FGA、閉眼軌跡長で有意な改善を認めた(DHI:p=0.03、FGA:p=0.008、閉眼軌跡長:p=0.02)。開眼総軌跡長では有意な変化を認めなかった。目標達成状況は87.5%であった。

 

【考察】慢性期高齢めまい症例においてもめまい感の改善がみられることが示された。FGA、重心動揺検査の結果より前庭リハは姿勢制御における感覚において視覚への依存度を減らす可能性が考えられた。今後若年者との比較や前庭リハを行わない対照群との違いを検証していく必要がある。

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